ないな!
一歳と三ヶ月になった娘。最近は歩くのもお喋りも大分上達してきた。特にお喋りは一日中していて、夜とかちょっと声を枯らす程だ。主に「でた、でた、でたぁ〜♪」「あいやいやいやっ!」「あった。」「ちゃうちゃう
」など意味不明なものが多いが、「ないな!」と言うのは娘にとって「あ〜それないな〜。」の意味らしいと言うことはわかってきた。そして、これが連発されるのは大体夕飯時。しかも、ちょっと頑張って作ってみました〜みたいな時に限って盛大に始まる「ないな!」祭り。
「娘〜♪出来たよ〜♪いただきます!さ、どうぞ、召し上がれ♪」とテーブルに置かれたおからハンバーグを見るなり「…ないな!」とプイッ!
…………怒
「ないな!じゃないでしょっ!?ほら、アーン!」
しかし、娘は「あ!あ!あ!」と身を乗り出しながらある一点を指差し、突然何かを猛アピール。……その指差す先には…ちっ、見つけやがったか…テーブルの下に隠してあったデザートのイチゴを…。
「これは、ご飯食べてからにしようね。ほら、まずはこっち食べよ!」
とイチゴをテーブルの更に奥に隠そうとしたが、「ないなーーー!ないな!」と更に力強く指をさし猛抗議。「そのイチゴをくれるまでこの喉、かき切れるまで泣き叫ぶことも辞さない覚悟。」と言う程の凄まじいイチゴへの執念を見せてきた。
……負けた……
「わかった…その代わり、これを食べたらちゃんとご飯も食べるんだよ?」とイチゴを差し出すと、「また隠されちゃたまらん!」とでも思ったのか、ババババババッともの凄い勢いで食べ始め、あっという間に平らげた。そして、もうイチゴがないことを確認すると「…そういうことでしたら…」と両手を合わせご馳走様のポーズをすると、よっこらせッと席を立とうとしやがり出す娘。
…………怒怒
「こら!ご飯も食べる約束でしょーが!」と半分椅子から飛び出た娘を席に戻し、おからハンバーグを差し出すも「ないなぁ〜」を連発し、断固拒否。
………怒怒怒…
「ないなぁ〜。じゃねぇ…怒!クックパッドにはお子様も大喜び!って書いてあったんだぞ!!」」と一歳児に言ってもしょうがないことを声を荒げて言う私。その声に逆ギレし更に「ないっ!!ないなぁー!!」の猛抗議をしてくる娘。
………よしっ、分かった。私も腐ってる…違う、腐っても、役者だ。みてろ、今、もう食べたくてしょうがなくしてやるからな!
そして始まる私の独り舞台…
「もぐもぐ〜あー美味しい♪これは何かな?えっ?おからハンバーグだってぇ!?あらっ!美味しいわぁ!なんて美味しいのかしらぁ!!頬っぺたが、あぁ〜♪落ちちゃう〜♪」
……………
……やめろ…そんな目で見るな…!
なんだ、その無に満ちた目は…それなら以前の「この大根がぁ〜!」ってスプーン投げられた時の方がまだマシだって話だっ。「役者にとってなぁ、諦められることが一番辛いんだよっ!!」と今度こそ一歳児に言ってもしょうがないことを言って何故か無性に自己嫌悪…。
結局、味噌汁には火が付いたらしくお代わりの勢いで食べ出したので、ここにおからハンバーグやらご飯やら混ぜて食べさせました。
これから言葉を色々覚えたらどうなることやら、今から楽しみの倍、恐ろしい。
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