小林家の花見
先日父から「花見だよ!!全員集合ー!!」の号令がかかり皆で実家に集まりました。正直桜なんてほとんど散ってしまっているが、いいんです…。桜の下だろうが松の下だろうが枯れ木の下だろうが、皆で集まって飲んで騒げればそれでいいんです。花見とはそういうものです。by小林父の教え。
今回は初めて娘も連れていきました。初の小林家花見、このテンションに付いて来られるかな?
約束の時間から遅れること30分、待ち合わせの公園に颯爽と現れる父。右手には三味線のケースが…。小林家の花見とはそう、小林父のリサイタルでもあるのです。
全員が集まり先ずは幹事一切を任された妹K子の始まりの挨拶。そして父が何故か今更になって今年の抱負を語り乾杯の音頭へ。授乳中の私もノンアルコールビールで乾杯。ホント良い時代だよ。
そして、乾杯もそこそこ父はいそいそと三味線を取り出し、ベンベンと長い調律を始めました。父は今回初めて孫に聞かせるとあって相当気合いを入れて練習してきたらしい。父の今の夢、それはしゅびベビに三味線と民謡を教え込み、三歳になったら自分の三味線教室の名前の入った着物を作って着せ、小林一座リサイタルをやるということ。…私は止めません…。我が娘、どうぞ宜しくお願いします…。
公園中に鳴り響く津軽三味線の音色…。見える…見えるよ…父の後ろにお岩木山のてっぺんが…。花見シーズンが過ぎ去った公園で明らかに浮いた盛り上がりを見せている集団に道行く人々が何事かと振り返ります。
そんな知るかといきなり妹K子に民謡、道南口説きを歌えと無茶ぶりをする父。しかし恥ずかしがりながらも最後まで道南口説きを歌いきった妹を私は尊敬するよ。
そして初めての三味線の音色に終始ご機嫌だった娘はそのうちこの騒がしさの中、気持ち良さそうにスヤスヤと寝てしまいました。父はそんなしゅびベビに「うんっ!!こりゃあ、才能があるな!!」と根拠のないプレッシャーを与えていました。
桜に目を向けることが一度もないまま、今回相当奮発して私が買ってきた、私は飲めないのに買ってきた、久保田萬寿を水のように呑みやがり、歌って踊って、そしてやはり水のように久保田を呑んでは騒ぎ、時にいきなり自分の人生観を語り、私達の花見は小林家恒例一本締めで幕を閉じました。家族の花見で一本締めするってあんまないよね…。「野郎共ぉ、片付けだぁ〜!」との父の雄叫びに「はいっ〜!!」と素早く片し始めてくれる妹と私の旦那達に感謝です。
しかしこの父、夜勤明けで40時間寝てないってんだから恐るべし。
このあと、今回の本来の目的お墓参りに行きました。
お墓まで歩くと15分位かかるので飲んでいない私が車を運転して行こうかと言うことになったのだが、父はおもむろに懐から缶酎ハイを出し義理の息子達に配りながら「歩いていくべや。呑みながら行きゃあ、俺の墓場は近いっ…!!」と ほろ酔い加減で豪語してました。ホントに単純に文字通り距離的な意味で何も考えてないんだろうが、怖いからそういうこと言うのはやめてくれ。
それから自分の買うスルメこそが本当のスルメなんだと皆を散々待たせて焼いたスルメを途中で皆に配り、終始ご機嫌でお墓参りを終えた父。楽しそうで何より。そんな父は今年の夏、ご自慢のハーレーを東北から北海道にかけて飛ばすそうだ。
| 固定リンク